生理遺伝学研究
丹羽プロジェクト「生理遺伝学研究」
自然界において生命体は、時々刻々と変化する環境にさらされながら生きています。そして生命体は、環境の変化に対しても自身の状態を一定に保つ恒常性(ホメオスタシス)と、逆に環境の変化に応じて自身を変えていく変容性(トランジスタシス)のメカニズムを有しています。近年の研究の進展によって、ホメオスタシスとトランジスタシスの制御に際して、個体を構成する様々な器官の間で神経やホルモンを介した信号が交され、多くの器官が複雑な情報交信をしていることが示唆されています。こうしたネットワークのことは「多臓器円環」とも呼ばれ、このネットワーク構造の破綻が病気の発症とも密接に関連することが示唆されつつあります。私たちのグループは、器官間の相互作用とその意義の解明を目指し、キイロショウジョウバエを主材料とした研究を行なっています。
研究内容
神経とホルモンを介した器官間相互作用による生殖・発生・代謝・寄生の制御システムの解明
丹羽隆介(生存ダイナミクス研究センター/教授)
主に以下の6つを対象とした研究を実施しています。
1)幹細胞の増殖と維持のメカニズム
2)栄養とエネルギーの代謝メカニズム
3)寄生蜂と宿主の相互作用
4)昆虫ステロイドホルモン生合成の調節メカニズム
5)低温時に誘導される生殖休眠のメカニズム
6)昆虫発生・生理学の基礎的知見を活かした創農薬のケミカルバイオロジー