筑波大学 生存ダイナミクス研究センター

プロジェクト

血管構造機能再生研究

澤田プロジェクト「血管構造機能再生研究」

 大動脈瘤や大動脈解離などの血管病は、血管構造が破綻することで発症します。破綻した構造的に脆弱な血管壁は、血管破裂という致死的な合併症を引き起こす危険性があります。しかし現在のところ、傷ついた血管そのものを再生・修復する有効な治療法はありません。澤田ラボでは、「傷ついた血管を再生・修復すること」を大きな目標にして、血管病の病態解明と血管再生機構の研究を行っています。

 血管の弾性を維持するために不可欠な構造として、エラスチン線維があります。エラスチン線維は大動脈の主要な構成成分であり、血管が拍動に耐えるための弾力性を支えています。しかし、血管疾患ではこのエラスチン線維が破綻し、血管壁の脆弱化が進行することが知られています。一方で、エラスチン線維は半減期が約70年と非常に長く、成熟した大動脈では新たに合成されないと考えられてきました。そのため、一度壊れたエラスチン線維は修復されないと考えられています。しかし、私たちはこれまでの研究により、「再生しない」と考えられていたエラスチン線維が、血管疾患の慢性期に新たに「再生される」ことを発見しました。さらに、この再生過程には、血管に存在する幹細胞が重要な役割を果たしていることを明らかにしています。現在は、これらの細胞がどのように分化し、どのような分子機構によって新たなエラスチン線維を形成するのかを、細胞生物学・分子生物学・空間トランスクリプトーム解析などを用いて詳しく解析しています。最終的には、血管の再生能力を活性化することで、血管疾患の新しい治療法の開発を目指しています。

研究内容

血管疾患におけるエラスチン線維再生機構の解明

澤田 悠(生存ダイナミクス研究センター/准教授)

「血管再生」をキーワードに、血管疾患における組織修復・再生機構の研究を行っています。以下は進行中のプロジェクトの一部です。
1)大動脈解離慢性期におけるエラスチン線維再生機構の解析
2)血管外膜前駆細胞の分化機構
3)シングルセル解析・空間トランスクリプトームを用いた血管再生ネットワークの解明
4)エラスチン線維再生を誘導する分子・シグナル経路の探索
5)血管再生機構を利用した新規大動脈疾患治療法の開発

 私たちは血管生物学と再生医学を融合した学際的研究推進のため、国内外の研究機関との共同研究も積極的に行っています。

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